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◆◆◆山内氏 Yamanoucsi Klán
<◆◆人物
<◆戦国時代 目次
<戦史FAQ目次
【質問】
大河ドラマ「功名が辻」で武田鉄矢とかやってる,山内家の最初の家来の二人は,実在した人物?
幕末まで子孫は残ってる?
【回答】
実在の人物だよん.
「山内家史料休夢覚書」によると
・弘治3年7月12日,山内氏の住む黒田城は、敵の夜襲に遭い兄十郎は討死,父盛豊も負傷した
・13歳の一豊は,家臣の祖父江道印の案内で屋敷の隠窓を破って外に出て土居の藪の竹を切って堀に橋を掛け城を脱出して岩倉城の織田信安のもとにのがれた.
とあるよん.
つまり,祖父江道印は実在の人物ってことだね.
また,山内入国後の宿毛領の領主として祖父江志摩次郎兵衛がいるよん.
・柏島1000石を与えられ柏島守護となったこと
・祖父江志摩は,山内一豊が幼少の頃尾州黒田城でその危難を助けた祖父江道印の子であること
・祖父江志摩は柏島で22年間生活し,元和9年に68歳で没したこと
・島民はその徳を慕って,毎年旧盆に祖父江志摩の墓前で「志摩さん踊り」を奉納していること
は「宿毛市史」にも残ってるよん.
木曽川町史では,
・祖父江家は,現在の中島郡祖父江町の出身で,盛豊の妻の縁者で黒田城の井戸番蔵番を勤めた盛豊が左腕と頼む有力家臣
・現在も木曽川町の電話帳には「祖父江」は約50軒程度,掲載されている
でもって,幕末土佐藩の司令官の1人,祖父江鷹衛は祖父江の子孫.他にもう1人,祖父江がいるけど,彼もそうだよん.
五島は,五藤主計が幕末に家老をしているよん.
木曽川町史では,
・一豊の父盛豊が尾張へ来た時のこと,長良川郷戸の渡しの渡船の船中で,五藤三郎左衛門浄基が盛豊の人柄にほれ込み臣従し仕えた
・「功名が辻」のは五藤吉兵衛で浄基の子ども
・五藤家は当時黒田近辺の豪族で,岩倉織田家に仕えた有力者
・「五藤」も電話帳で約200軒程度確認可能
愛知県一宮市(旧・木曽川町)の山内家菩提寺・法蓮寺に行けば,
山内家の墓と並んで五藤家や祖父江家の墓もあるよん.
山内家の譜代中の譜代だぁね.
【質問】
一豊の妻,千代の出生地ってはっきり分かってたっけ?
【回答】
千代の出生地は,郡上市の八幡城城主・遠藤盛数の娘という説のほか,近江
(滋賀県)浅井氏の家臣である若宮友興氏の娘とする説などいろいろある.
いずれも系図や寺の過去帳の記載などを根拠にしており,一定の信頼性はあるといわれているが,出生地を確定するまでには至ってないのが現状.
ちなみに司馬遼太郎の「功名が辻」は,若宮氏説をベースにしている.
【質問】
山内一豊譚は戦国の出世物語扱いされているが,オレなら僻地の土佐24万石より東海道沿いの掛川5万石の方がいいな.
土佐転封は,実は体のいい左遷じゃないか?
【回答】
単に東海道は譜代,外様は遠方の地のルールが適用されただけで,「左遷」ではない.
ただ,一豊入封時の土佐藩は,超ド級の貧乏でありますた.
さらに,慶長十一年に一豊が死去した後,それに追い討ちを掛けるように幕府から度重なる課役負担を強いられ,藩財政は困窮を極めておりますた.
当初,それに必要な資金を大阪の商人から調達しつつ自転車操業しておりますたが,その後間もなく元和七年頃,藩財政は破綻寸前まで逝っちゃいますた.
土佐藩が物産として本格的に自藩領の木材に着目し始めたのは,一豊死後約二〇年.
それによって藩財政が潤うのは,一豊死後三〇年近く経ってからでありまつ.
元和八年,こんな財政状態ではいかん,と大慌てで山から檜を切り出し,大阪民間市場へ廻送し続けた結果,一豊入封以来ここで初めて藩財政の建て直しに成功したのでつ.
しかし,民間需要分の伐採に加え,寛永始めの大阪城と二条城普請時に膨大な数の土佐檜を乱伐し献上し続けたから土佐の檜山は禿山となり,急遽民間に対し木材伐採の規制を設け,藩をあげて造林に励み出すのでありまつ.
【珍説】
山内一豊は土佐長宗我部の一領具足たちをだまし討ちして虐殺した悪人だ!
【事実】
原作の司馬氏は,長宗我部氏や郷士階級の出身である坂本龍馬を題材にした小説も書いていることから,土佐入国後の一豊に関しては批判的です.
ただし,一豊と同様に統治が難しい領地を与えられた結果,その統治に失敗して改易された外様大名がいたことを考えると,やむを得ない部分もある,としています.
また,半農半兵という一領具足の特色が,兵農分離という時代の流れと衝突したことも,こうした悲劇の一因といえます.
当時(1600~1601年)はまだ混乱しており,そうしたことは日常茶飯事なんですけどね(^^;
どちらの立場に立つかによって,ものの見方は変わってしまいます.
こうした歴史的事実の,一点のみをとらえてどちらかを一方的に非難することは,無益であるばかりでなく,正直言ってうざいです.